送出機関・日本語学校の設立手続(概要)
送出機関・日本語学校の設立手続(概要)
1 はじめに
本記事ではウズベキスタンにおける現地法人・日本語学校・送出機関の設立手続の概要について紹介する。なお、本記事は以下で言及するJETROの報告書を参照して作成している。
2 現地法人の設立
現在、約60%のウズベキスタン企業が有限責任会社(LLC)であり、株式会社の割合は1%以下である。日本語学校や送出機関は有限責任会社として設立されるのが通例である。
(※1スム=0.01円※2024.10月時点)。
設立手続・必要書類の詳細は「ウズベキスタン拠点(法人および駐在員事務所)設立ガイド(2020年2月)」、「外国企業の会社設立手続き・必要書類」を参照されたい。
FE LLC | JV LLC | LLC | |
出資者数 | 1名以上50名未満 | 2名以上50名未満 | 1名以上50名未満 |
出資者 | 外国籍者、外国法人 | 外国籍者、外国法人、ウズベキスタン国籍者、ウズベキスタン法人等 | 外国籍者、外国法人、ウズベキスタン国籍者、ウズベキスタン法人等 |
資本金最低額 | 4億スム | 4億スム | 特になし |
外国資本割合 | 100% | 15%以上 | 15%未満 |
責任範囲 | 持分の範囲 | 持分の範囲 | 持分の範囲 |
持分払込期限 | 法人登録日から 1年以内 | 法人登録日から 1年以内 | 法人登録日から 1年以内 |
ライセンス等の必要性 | 特定の分野(国外労働者送出しなど)において必要 | 左記同様 | 左記同様 |
※ジェトロ「ウズベキスタン拠点(法人および駐在員事務所)設立ガイド(2020年2月)」を参照して作成。
3 送出機関の設立
2018年制定の2018年10月16日付共和国法第501号により民間送出機関の設立が可能となった。法人形態・出資形態は問われないので、日本企業による100%自己資本の設立も可能である。
・2024年11月時点の手続
ウズベキスタン人の国外送出しをするためには、雇用貧困削減省からライセンスを取得する必要があり、ライセンス取得手続は司法省の公共サービスセンターにて行う必要がある。従来、申請書類は以下のとおりであったが(雇用貧困削減省のサイトから申請可能。インストラクションも掲載されている)、10月17日付で移民政策に関する新大統領令が発出されたことに伴い、今後、申請要件・必要書類に変更があると思われる。【新大統領令の詳細については別記事で説明する】
① 定款の写し
② 代表者任命に関する書類の写し
③ 代表者の高等教育の卒業証書の写し
④ 二人目の従業員の採用に関する書類の写し
⑤ オフィスの不動産登記書類または賃貸契約書の写し
⑥ 申請者が「国外就労者の権利利益を支援・保護する基金」の口座に8,500倍の基礎計算額を支払ったことを証明する支払書類の写し
※2024年10月時点で基礎計算額の1単位は375,000UZS(≒29USD)
⑦ 申請審査手数料(基礎計算額の5倍)の支払証明書の写し
なお、⑥基金への預託金は、ウズベキスタン国民が国外労働中に労災その他の損害が発生した際に、その損害の補填や帰国費用を負担するために利用される。
また、2018年10月16日付共和国法第501号23条によると、労働および移民に関する法令の厳守、本法に定められた活動のみを行うこと、法人従業員が定められた手続に従い、3年に1回以上資格証明書を取得することもライセンス発行の要件とされている。
4 日本語学校
日本語学校もあらゆる法人形態での設立が可能である。法律上、送出機関による日本語教育実施が認められていないため、現状では送出機関の出資者は日本語教育を行う別法人(有限責任会社)を設立している。
通知は、虚偽または不正確な情報の入力が確認された場合、通知手数料が未払である場合、以下の要件の遵守が確認されない場合などには受理されない。
課外教育に関する国家基準に基づき作成されたカリキュラムとシラバスを用意すること。
教育活動が行われる施設の所有権またはその他の財産権を有すること(この要件は、遠隔(オンライン)教育に基づく非国家教育サービスには適用されない)。
各指導者に教育教材を提供すること。
以下の情報を教育監査情報システムに正確かつ信頼性のある方法で入力することの保証。
教育機関に関する情報
生徒に関する情報
教員、指導者、トレーナーに関する情報
教育課程に関する情報
契約に基づき学生とのやりとりを実施すること
学生の最小および最大人数
クラブの場合は最大40人まで
教員の学歴
高等教育 - 70%
中等専門教育 - 20%
中等教育 - 10%
教育機関の敷地:
壁またはフェンスに囲まれていること
夜間照明の設置
飲料水と排水設備があること
教育機関に割り当てられた部屋の最小面積:
授業用の教室 - 15 m²
作業室 - 30 m²(存在する場合)
スタジオや個別指導室の合計面積 - 20 m²(存在する場合)
一般的な教室や実験室 - 25 m²(存在する場合)
教室での教育活動のために必要な最小条件:
電子または通常の黒板1台
プロジェクター1台
教室の照明レベル400ルクス
ウズベキスタン共和国の主任国家衛生医師によって2013年1月23日付けで承認された「課外教育機関の設備および供給に関する衛生基準、規則および衛生規範」No. 0307-13に準拠すること
ウズベキスタン共和国の主任国家衛生医師による「障がいのある成人および子供が使用する住宅および公共建物の設計および建設に関する衛生基準および規則」No. 0266-09(2009年6月4日付)に準拠すること
課外教育の修了証書を発行すること
外国語を教える場合、教員は資格を証明する国家認定証または国際的な評価システム(IELTS、CEFR、TOEFL IBTなど)の最新の証明書を持っている必要があり、その証明書は内閣附属の国家試験センターによって提供されること
5 おわりに
設立手続の詳細を知りたい場合には、本記事で参照しているJETRO報告書を確認していただきたい。なお、JETRO報告書は弁護士法人瓜生糸賀法律事務所タシケントオフィス代表Yarashev Nodirbek氏が作成している。Nodirbek氏のインタビュー記事は→ウズベキスタン進出企業をサポートする弁護士
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