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移民庁の改革:新たな方向性と展望

移民庁の改革:新たな方向性と展望

202410月、ウズベキスタンでは移民政策改革に関する大統領令が公布された。主な法令として以下が挙げられる。

  • 20241017日付「移民プロセス管理システム改革のための優先措置に関する大統領令」(№UP-162

  • 20241017日付「国外労働活動の整理に関する追加措置に関する大統領令」(№PP-367

これらの大統領令は、移民庁の地位、民間送出機関の活動、そして日本との協力政策に関する重要な変更を含んでいる。以下では、それぞれの主な内容について詳しく説明する。

なお、従前のウズベキスタンの送出手続については、次の記事を参照されたい。→送出手続の概要

1. 移民庁:送り出し機関から国家機関へ

以前、対外労働移民庁は雇用・貧困削減省の傘下で国家の送出機関として活動していたが、新たな大統領令により「雇用・貧困削減省傘下の対外労働移民庁」から「内閣直属の移民庁」に改編され、国家(行政)機関となった。新しい移民庁は、内閣および国家移民委員会(以前は対外労働移民問題国家委員会)に直接報告することになった。

行政機関への移行により、権限にも変化が生じた。特に、国外労働者送出の分野における監督権が強化され、主な活動方針は以下のように定められた。

  1. 対外労働移民の管理、国外での一時的な労働のための市民派遣の監督、および記録管理。

  2. 民間職業紹介機関(以下「民間送出機関」)のライセンス付与および活動の監督。

  3. 国際的な移民プロジェクトの実施、外国機関との協力、および市民の権利保護。

  4. 外国雇用主の要件に応じた職業および語学研修、資格認定の実施。

  5. 国外で働く市民の法的・社会的保護、帰国支援。

  6. 外交機関との協力、ディアスポラおよび同胞との関係強化。

202511日以降、移民庁には民間送出機関の活動を監査する権限が与えられ、ビジネスオンブデスマンへの報告が義務付けられる。また、20261月までに、市民の国外就労支援や送出業務は段階的に民間送出機関に移管される予定である。この改革により、移民庁は単なる送出機関から、移民政策管理機関へと生まれ変わることになる。

2. 民間送出機関の設立柔軟化および運営要件の厳格化

改革では、民間送出機関の設立条件がより柔軟化される一方で、その運営に対する要件が厳格化される。主要な変更点は以下のとおりである。

  • 預託金の減少

最大の変更点は、ライセンス取得のための預託金が大幅に引き下げられる点であり、8,500基本計算単位から4,000単位(202412月時点では約18,316,400円)に削減される予定である。民間送出機関は、これらの資金を商業銀行の預金として預け、その利息を使用することができる。

  • 職業および外国語の研修コースの設立

民間送出機関には、国外就労希望者向けに職業訓練や外国語教育を提供する権利が与えられる。高等教育・科学・イノベーション省は、民間送出機関に対して空き施設を提供することになる。

  • 民間送出機関の従業員の資格厳格化

政府は民間送出機関の物的技術基盤およびその経営者の資格に関する明確な基準を設定する。例えば、詐欺、人身売買、テロ、過激主義などの犯罪で有罪判決を受け、恩赦されていないまたは前科が消えていない者が設立・運営する民間送出機関にはライセンスが付与されない。さらに、これらの者との労働契約、民法上の契約、代理契約を締結することも禁止される。加えて、民間送出機関の従業員に対する職業倫理規範が導入され、民間送出機関の定期的な評価基準やランキング制度が設けられる。

3. 戦略的パートナーとしての日本

改革において日本との協力が特に注目されている。ウズベキスタン政府は2025年までに経済的に発展した国々に20万人の市民を派遣する計画を立てている (Over 200,000 citizens of Uzbekistan to be employed in economically developed countries in 2025 — prime minister)。そのため、2024年から2026年にかけての対外労働移民プロセス改善プログラムでは、日本の大手企業との協定を締結し、ウズベキスタン市民の日本での雇用機会を確保することが計画されている。

20253月までに日本の雇用主の要件を満たす人材データベースが作成され、同年6月には日本企業との重要な協定を締結する計画である。さらに、ウズベキスタンは日本側と共同で、建設業、医療、製造業、サービス業、および日本語教育の分野で合同トレーニングコースを組織する意向である。

4. まとめ

大統領令は、労働移住管理の効率性向上、民間部門の役割強化、国際協力の深化を目的としている。特に、より多くの労働者を国外へ送出するために民間送出機関の設立を軟化させているため、今後、民間送出機関が増加することが見込まれる(2024年時点では16社しか民間送出機関がない。日本への送出に対応している民間送出機関については、次の記事を参照されたい。→民間送出機関一覧)。また、大統領令により、日本はウズベキスタン市民の雇用における重要な戦略的パートナーとして位置づけられているので、今後、日本への送出体制が強化される可能性がある。

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