送出手続の概要
送出手続の概要
1. ウズベキスタンの移民送出制度の変遷
移民労働者の送出制度の変遷は、以下の表のとおりである。
1995年以降、ウズベキスタンでは国外就労をするためには国家機関による就労許可が必要とされた。また、民間による移民送出しは認められていなかったが、2018年から民間送出機関による移民送出しが認められるようになった。2019年に日ウ間で技能実習・特定技能の覚書が締結されたこともあり、日本への送出も少しずつ増えている(2023年12月時点で305名)。
日本に在留するウズベキスタン人の数は以下のとおりである。
出典:在留外国人統計
2. 移民送出とかかわりを持つ主な国家機関
移民にかかわる主な国家機関は、雇用・貧困削減省、対外労働移民庁、内閣府であり、それぞれの活動内容は以下の表のとおりである。
移民の送出しは、対外労働移民庁と民間送出機関によって行われる。2024年7月時点で16社あり、うち7社が日本への送出に対応していることを確認している。【送出機関の一覧】
対外労働移民庁は雇用・貧困削減省の管轄下ではあるが独立した国家機関として移民送出を行う。民間送出機関については、雇用・貧困削減省によって許認可の付与・取消や監督が行われている。
3. 送出しについて
要送出機関(直接契約を除く)
対外労働移民庁へのヒアリングによると、特定技能・技人国等の就労に係る在留資格およびの送出/受入については、本人と日本企業が直接契約をする場合を除いて、国外送出しのライセンスを取得している送出機関を通じて行う必要がある。技能実習は制度上、送出機関の関与が必須である。
その他の特徴
高額な預託金
2020年の法改正まで、民間送出機関はライセンスを取得するために50,000ドルを「国外労働者の権利と利益を支援・保護する基金」に預託する必要があった(民間雇用機関法第13条3項)。しかし、ウズベキスタン国内で、悪質な送出機関が高額な手数料(約2000~3000ドル以上)を求職者から受領したにもかかわらず、送出先となる企業を見つけることができずトラブルとなる事例が多発し、メディアや上院で取り扱われるほど社会問題化したため、移民労働者保護を目的として2020年に規制が強化され、基礎計算額の8,500倍(約248,000ドル)を預託すべきこととなった(同条6項)。この規制強化に伴ってライセンスの取消が相次ぎ、2024年7月時点で16社のみ民間送出機関としてのライセンスを保持している。
求職者から受領できる送出しサービス料の自由化
2020年の法改正までは送出しサービス料に関する規制はなかったが、2020年11月以降、民間送出機関は求職者から送出しサービス料を受け取ることはできず(民間雇用機関法13条4項)、コンサルティング料として375,000スム(約4,300円※2024年10月時点)のみ受け取ることができるようになっていた(同法14条1項)。
しかし、大統領令に基づき、今後送出しサービス料の設定が自由化される予定である(※大統領令では2024年7月1日から自由化される予定だったが、10月時点ではまだ法改正がされていない)。そのため、今後、送出しサービス料が高額化する可能性がある。
※民間送出機関へのヒアリングによると、日本語教育費用・ビザ申請サポート料などの名目で、求職者から1000ドル~2000ドル程度受領している機関が複数存在している。
※技能実習経験者へのヒアリングによると、さらに高額な費用を支払ったと証言する者もいる。
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