ウズベク人って多言語話者なの？

ウズベク人の言語はウズベク語です。ウズベキスタン共和国憲法第4条1項は、「ウズベク語は国語である。」と定めます。しかし、ウズベキスタンは多民族国家であるという点、そして歴史的背景により、憲法4条2項は「ウズベキスタン共和国は、その領土内に住む大小の諸民族の言語、習慣および伝統を尊重し、その発展のための前提条件を整えることを保障する。」と定めています。

教育の現状

そのため、ウズベキスタンでは、ウズベク語以外にいくつかの言語で教育が行われています。Azimov Inomjon（アジモフ・イノムジョン）氏[1]によると、2020年時点でウズベキスタンでは10,000以上の学校があり、その内900校ではロシア語、133校ではカラカルパク語、218校ではカザフ語、38校ではキルギス語、165校ではタジク語、23校ではトルクメン語で教育が行われていました[2]。

2021年度では、ロシア語は643,000人、カラカルパク語は126,000人、タジク語は65,000人、カザフ語は54,000人、トルクメン語は11,000人、キルギス語は8,200人、英語は1,500人が習っていたという統計もあります[3]。一つの学校でも、ウズベク語とロシア語のクラスに分けられる場合が多いです。地域によりますが、例えば1学年に、4クラスがある場合、2クラスでロシア語での教育が行われます。

ウズベク語とロシア語以外の言語

日常会話ではウズベク語とロシア語以外に、地域により使われる言語も違ってきます。例えば、サマルカンド、ブハラではタジク語、カラカルパクスタンでは、カラカルパク語、カザフ語を話す人も多いです。

ウズベク人は上述の言語以外に英語が話せる人が多いです。英語以外はフランス語、ドイツ語などを教えている学校もあります。最近、いくつかの学校では日本語を教えるようにもなっています。

バイリンガルなウズベク人の特徴

言語に関するウズベキスタンの特徴は、ウズベク語およびロシア語を混ぜて話す人が多いです。多くの人は、ロシア語のクラスに通いながら、家庭でウズベク語を使用します。そのため、ウズベク語話者でありながら、同時にロシア語話者でもあります。

ウズベク語の方言

ウズベク語の方言もあります。標準語はフェルガナ地方の言葉が使用されており、地方により使われている言葉や発音が違うことがあります。方言は主に４種類あります。それは、タシケントの方言、ブハラ・サマルカンド地方の方言およびホラズム地方の方言です。その中で特に、ホラズムとブハラ方言は変わった方言になっています。標準語やタシケントの方言と異なる部分が多いので、ホラズム人、ブハラ人が他の地域のウズベキスタン人と話すときに、お互いの話していることがよく理解できない場合もあります。言葉の違いを見てみましょう。

このように、ウズベク人はウズベク語だけではなく、ロシア語も併用します。他の諸民族はそれぞれの言語が話せ、特定の地域に住んでいる人はその地域特有の言語・方言がわかります。それに加えて、ウズベク人は学校で外国語を学びます。そのため、ウズベク人は多言語話者の民族だと言えますね。

[1] Vice-Rector of Alisher Navoi' Tashkent State University of Uzbek Language and Literature - Director of the Center for professional development and training in the basics of office work in the state language

[2]「ウズベク語の開発は、国家政策の優先分野です。専門家の意見」Kun.uz // https://kun.uz/ru/news/2020/11/16/kommentariy-k-diskussiyam-o-yazykovoy-politike-uzbekistana (参照 2024年5月28日)

[3] «Какие иностранные языки чаще всего изучают ученики в школе?» ウズベキスタン共和国大統領直属の統計庁。// https://stat.uz/ru/press-tsentr/novosti-goskomstata/23521-o-quvchilar-maktabda-ko-proq-qaysi-xorijiy-tillarni-o-rganmoqda-2 (参照 2024年5月28日)