会計・経理担当者として活躍しているウズベクの高度人材
会計・経理担当者として活躍しているウズベクの高度人材
日本語は日本の文化だけではなく、先進的な財務スキルを学べるツールである
経歴
アクバル・ジャリロブ
2006- 2010:タシケント金融大学
2010-2015: East food trade社
2015-2017: 上山学院日本語学校
2017-2022: 名古屋経済大学大学院 修士
2021-2022: 栄光holding 株式会社
2022-現在:ホシザキ株式会社
(1986年生まれ、カシュカダリャ出身)
日本留学のきっかけ
大学を卒業後タシケントの企業で会計業務に従事していましたが、ウズベキスタンでキャリア成長の限界を感じ、海外留学を検討するようになりました。イギリスか日本という選択肢がありましたが、日本留学中の友人から勧められ日本を選びました。
ウズベキスタンから日本の大学院へ直接留学するルートは限られており、まずは日本語学校へ留学しました。
日本語学校で日本語能力を磨く
私は日本で大学院に進学したいという目標がありましたが、まずは日本語の基礎を固めるため、日本語学校に2年間通いました。その間、コツコツと努力を重ね、日本語能力試験N2に合格しました。日本に来たとき、私はすでに29歳でした。限られた時間を有効に使うことの重要さを感じ、ほかの学生と比べて集中して勉強に取り組みました。
特に漢字の勉強には工夫を重ねました。例えば、宿題で100文字の漢字が出た場合、短時間で何度も書き直し、30分のうちにしっかりと暗記するように努めました。休憩時間も漢字の復習に使い、日々少しずつ着実に力をつけていきました。
大学院への進学準備と奨学金獲得
大学院に進学するためには、まず研究計画を作成する必要がありました。日本語能力を高めたおかげで、この計画作成もスムーズに進みました。計画の途中で先輩や友人に相談しながら、内容を充実させることができました。さらに、自分の研究テーマに合った大学と教授を見つけるため、事前に大学のサイトで情報を調べ、適切な教授と連絡を取るよう心がけました。日本の大学院で学びたい方は直接大学の教授と連絡をとり、自分の研究テーマをサポートしてくれるか確認を取る必要があります。
大学院の学費は70万円と高額でしたが、先生方や大学の国際部との良好な関係のおかげで、Rotary Yoneyamaの奨学金を得ることができました。この奨学金により、毎月14万円の支援を受け、経済的な不安を解消できました。JLPT N1や、来日後1カ月で取得した日商簿記3級の資格も、自分自身を成長させたいという熱意を示すものとして、奨学金獲得の後押しになりました。日本では、英語や日本語のどちらでも大学院に進学することが可能ですが、日本語で学びたい留学生には特に有利になることがあります。日本語を理解している留学生は、日本語のみで教えられる大学にも進学できるため、選択肢が広がります。特に、日本の大学で奨学金を得ることを目指す場合、最低でも日本語能力試験N2やN1レベルの日本語力が求められることが多いため、しっかりと準備することが大切です。
日本企業への就職
私は就職活動を始めましたが、33歳という年齢が影響し、新卒採用ではなかなか難しい状況でした。何度も最終面接まで進むものの、年齢が理由で不採用になることが続きました。そこで私のウズベキスタンでの社会人経験、日商簿記3級、2級を取得していることがあったので、人材紹介会社のアドバイスを受け、中途採用に挑戦することにしました。中途採用では年齢が大きな壁にはならず、比較的スムーズに仕事を見つけることができました。最初に入社したのは栄光ホールディング株式会社で、その後、ホシザキ株式会社へ転職し、現在もそこで働いています。
日本は資格や証明書がとても大事
日本の企業に就職する際、資格の重要性を強く感じます。日本は「資格の国」とも言われるように、資格やスキル証明書を持っていることで評価が高まる文化があります。特に、中途採用で就職する場合は、日本語で流暢に話せることや、専門分野に関連する資格を持っていることが重要です。日本語力が高く、自分の専門性を証明できる資格を持っていると、日本の企業に好印象を与えられ、採用の可能性も高まります。
ウズベキスタンで大学を卒業後、社会人の経験がある方は直接日本での就労を目指す場合、新卒採用での入社は難しいことが多いです。そのため、中途採用という選択肢を視野に入れ、日本語力と専門的な資格の取得に力を入れることをおすすめします。
外国人社員として日本で働く際のポイント
日本で働く際、外国人社員だからこそ気をつけるべきポイントがいくつかあります。まず、就職初日には上司と相談し、自分の宗教や文化について理解してもらうことが重要です。仕事を円滑に進めるためにも、自分が仕事中に必要とする配慮について、事前に上司と合意を得ておくと安心です。たとえば、祈りの時間が必要な場合は、そのための環境を整えてもらうなどの調整が可能です。日本の職場でも、こうした宗教的な関心や価値観に対する配慮は理解されやすいです。
さらに、日本人と仕事をする上では、相手の価値観も考慮し、問題が生じにくい職場環境を築くことが大切です。日本では、周囲と調和を保つことや、他者への配慮が重視されます。自分の価値観や文化を理解してもらうだけでなく、日本人の価値観や文化も尊重する姿勢が、良好な職場関係を築くうえで欠かせません。
このように、外国人社員として日本で働く際は、相互の理解と配慮を持って取り組むことが信頼関係の構築につながります。
日本人とウズベク人のお金に対する接し方の違い
日本人とウズベク人では、お金に対する考え方やその扱い方に違いがあります。まず、日本人は「お金を稼ぐためだけに働く」というよりも、仕事を通して社会貢献や自己成長を重視し、長く安定した職場で働くことを大切にしています。日本人は、自分の仕事が報酬に見合っているかを常に考え、働き甲斐を求める傾向が強いです。一方で、ウズベキスタンでは給料に対して積極的に交渉したり、昇給を求めたりする文化があります。日本では給料の交渉は一般的ではないので、慎重に行いましょう。
また、日常生活でのお金の扱い方にも違いがあります。日本人は1円単位まで正確に計算し、友達同士でもお金の貸し借りをできるだけ避ける文化があります。
ウズベキスタンでは、日常の買い物で釣り銭が多少足りなくても気にしないことが一般的ですが、日本人はそのような場合でもきちんと確認し、1円単位で精算する習慣があります。この違いは、お金に対する価値観や秩序を重んじる文化の違いともいえます。
日本人は、日常の外食費や家の買い物なども計画的に管理し、支出をきちんとコントロールしています。このような計画性は、個人の生活だけでなく、会社の経営にも表れています。たとえば、会社では5年計画を立て、売上目標や達成手段を綿密に整理するなど、秩序ある計画を重視しています。日本人はお金がたくさんあるからお金持ちではなく、しっかり計画、管理するからお金持ちだと私は思います。
こうしたお金に対する考え方や計画性の違いを理解することで、日本人と良好な関係を築く助けとなるでしょう。
これから日本へ留学、就労する予定の方々向けのメッセージ
まず、日本語は可能な限り母国で学ぶことをおすすめします。日本の日本語学校は費用が高いため、母国で基礎を固めておくことで、学費の負担を抑えることができます。日本語学校に通うことは経済的に余裕がある方に適しています。
日本で会計・経理関係の仕事をしたい方向けですが、ウズベキスタンでは日常的な財務分析が少なく、ルーチンワークが多いかもしれませんが、日本の経理業務ではPL(損益計算書)やBL(貸借対照表)を細かく分析し、それに基づいて施策を考えます。日本の経営者は資金管理に重きを置き、利益を生み出しているかどうかを確認するのが日々の役割です。経理部の人も、単に事務所にとどまるのではなく、現場に出向いて業務を理解し、現場から得られる情報を反映した判断を求められることが多いです。
日本で学び働くことで、周りの日本人や同僚がウズベキスタンの印象を私たち外国人を通して受けることになります。そのため、自分自身の行動に責任を持ち、ウズベキスタンを良い形で紹介できるよう、常に気を引き締めて行動するように心がけています。
私の目標は、日本企業でCFO(最高財務責任者)として、世界レベルで活躍することです。皆さんも、それぞれの夢や目標に向かって、日本での経験を糧にして成長していってほしいと思います。
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