株式会社ノーリツイス代表の青木照護氏: ウズベキスタンはアジアのフロンティアです。
株式会社ノーリツイス代表の青木照護氏: ウズベキスタンはアジアのフロンティアです。
日本の中小企業メーカーがウズベキスタン進出の体験談。
株式会社ノーリツイス事業概要
·代表取締役社長:青木照護
·1947年創業、オフィスチェアを中心に製造
·本社・工場:愛知県弥富市
·社員数:約100名
·オフィス、学校、病院、公共施設、工場などに製品を提供
·国内のオフィス家具販売会社にOEM供給
·年間売上:約16億円
·「日本の働く人々を支える」という理念で事業展開
1. ウズベキスタンでの事業について教えてください。
弊社は2021年にウズベキスタンに「ACES JAPAN」という現地法人を設立し、タシケントにあるアルカメベルというショッピングモールにショールームを開設しました。日本から輸入したオフィス家具を販売しています。来年(2025年)からは、現地で「Japan Quality」のオフィスチェアを製造する予定で、現在その準備を進めています。また、ウズベキスタンには多くの優秀な人材がいますので、そういった人材を日本で活躍させるための支援も行っています。翻訳や通訳のサービス提供も、その一環です。
2. ウズベキスタン事業に携わることになったきっかけは何ですか?
日本は人口が減少しており、オフィスチェアの需要も減少傾向にあります。そのため、海外での販路拡大を目指して、タイやベトナムなど東南アジアを調査しましたが、既に競争が激しく進出のメリットが見込めませんでした。そのような中、名古屋市がタシケント市とパートナー協定を結んでいた縁で、ウズベキスタンに注目しました。
2017年に日本青年会議所(JCI JAPAN)の会頭を務めた際、ウズベキスタンとの交流があり、その後現地を訪れた際、成長著しい国だと感じました。さらに、高品質なオフィスチェアの製造がまだ行われていないことを知り、先行者利益を見込んで進出を決意しました。
3. ウズベキスタン事業の立ち上げにおける苦労は何ですか?
まず、現地のパートナー探しが最も難しいと感じています。ウズベキスタンには独自のルールが多いため、日系企業だけでの進出は難しく、信頼できるパートナーが不可欠です。現時点では、最適なパートナーと出会えておらず、今も模索中です。
また、ウズベキスタンには工業規格があるものの、それを保証するための適合性評価がまだ成熟していない点が課題です。そのため、高品質な日本製品の優位性を消費者に理解してもらうのが難しい状況です。ウズベキスタンでの工業規格の確立は、日本企業全体に共通する課題です。
こうした課題に対応するために、ウズベキスタンの技術規制庁と協力し、試験人材の研修プログラムを実施しています。今年で3年目になりますが、今後も継続していきたいと考えています。
4. ウズベキスタン人材の特徴、強み、弱みについてどう思われますか?
ウズベキスタンの方々は親日的で、非常に友好的です。ただし、中間報告を行わないことが多く、問題が起きた後に報告されることがあります。日本人は中間報告を重視するため、この点が改善されると良いと感じます。また、仕事に対する教育がまだ十分でなく、品質向上への意識が浸透していない点も課題です。
個人的な悩みとしては、ウズベキスタンから来日した方々のためにハラール対応のレストランを探すのが難しい点です。
5. 役員・従業員にWhyウズベキスタンと聞かれたらどう答えますか?
ウズベキスタンは「アジアのフロンティア」だと答えています。人口が約3600万人で、毎年100万人近くの新生児が生まれ、ニーズが溢れています。特に、高品質なオフィスチェアはまだ製造されていないため、先行者利益が期待できるのです。
弊社は1947年からオフィスチェアを製造してきた経験があり、日本の高度経済成長期を通じてオフィス環境の変化を知り尽くしています。今のウズベキスタンはまさに成長期にあり、その経験を活かせると感じています。
さらに、「Made in Japan」のブランド力はウズベキスタンで依然として強力で、現地のお客様はその信頼だけで製品を購入してくれます。これは大きな強みです。
6. ウズベキスタン進出を考えている日本企業へのメッセージ
ウズベキスタン進出を考える企業への3つの提案です。
1. 良いパートナーを見つけること
海外進出は現地のパートナーが不可欠です。焦らず時間をかけて、ベストマッチのパートナーを見つけてください。
2. 人材の確保
一人で進出すると孤軍奮闘になりがちです。現地や日本の信頼できる人材を早い段階で育成することが重要です。
3. 複数のプランを用意すること
ウズベキスタンは成長が著しい分、変化も激しいです。A案がうまくいかない場合に備えて、B案、C案も準備しておくことが大切です。
ウズベキスタンは高度経済成長期のようなビジネスチャンスに溢れた国です。今こそチャレンジの時です。ぜひ多くの日本企業が共に進出し、チームジャパンとしてこの成長市場を切り開いていきましょう。
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